ぶっ飛んだ妊婦小説『グレタ・ニンプ』

ぶっ飛んだ妊婦小説『グレタ・ニンプ』

綿矢りさの最新作『グレタ・ニンプ』は、妊娠を機に妻が豹変する痛快コメディ。笑いの奥にひそむ不妊治療のリアルにも迫る一冊です。

るこ
るこ

こんにちは、ツンドクスタッフのるこです📚

綿矢りささんの新刊『グレタ・ニンプ』をようやく読んだのですが面白くて一気に読んでしまいました…!これはぜひみなさんにも紹介したいと思ったので今回はその記事になります!

グレタ・ニンプ

グレタ・ニンプ

綿矢 りさ

小学館|定価 ¥1,870|334ページ

俊貴は控えめで笑顔が可愛い由依と結婚する。不妊治療を4年続けた末、夫婦2人で生きていくと決めた矢先、俊貴が仕事から帰宅すると、由依が珍妙な格好で踊っていた。「ヨウセイダーーーーッ!」。妊娠した喜びで(!?)由依は内面、外見ともに豹変。髪型はデニス・ロッドマンのように、喋り方は『ドラゴンボール』の孫悟空のようになる。「あああ、もう声出さねえと、やってられねえ!痛い!めちゃくちゃ痛い!腹ん中で赤ん坊が暴れ回ってやがる!」ほか共感&爆笑の連続で、読んだら元気になります!

綿矢さんの作品はこれまでも何冊も読んできましたがこんなにもコメディな作品を書いているのははじめてだと思うのと、前作が『激しく煌めく短い命』という長編恋愛小説だったこともあって前作との振り幅がすごすぎて綿矢さんって何でも書けるんだ…。とさらに好きになりました。

激しく煌めく短い命

激しく煌めく短い命

綿矢りさ

文藝春秋|定価 ¥2,585|634ページ

二人の恋の炎は、すべてを焼きつくす。京都と東京を舞台に描く、集大成的恋愛小説「誰かを傷つけるのはこわいけど、傷つけなければ生まれない感情もある。」――綿矢りさ 京都に暮らす久乃(ひさの)は、中学校の入学式で出会った同級生の綸(りん)にひと目で惹かれ、二人は周囲の偏見にも負けず、手さぐりで愛をはぐくんでいく。「名前なんか、どうでもいーやん。私は久乃が好き。久乃は私が好き。それで十分やろ」しかしあることがきっかけで二人は決定的に引き裂かれる。そして十数年後、東京の会社に勤める久乃は思いがけない形で綸に再会するのだった――。

最新作の『グレタ・ニンプ』に話を戻しますが、この作品は妊婦小説です。

夫婦の不妊治療から物語は進んでいくのですが、治療によってメンタルや体調がやられながら4年間も不妊治療を続けた末にようやく妊娠することができた途端に、今まで清楚だった奥さんが見た目や言葉遣い、行動が全部ぶっ飛んでいってしまう。表紙にうつっている紫坊主でおらついた顔をしているのがその奥さんです(笑)

本の作り方も自由で、その部分も実験的で面白いなと思ったのですが、奥さんが話すセリフの時だけフォントがごっつい書体で印刷されていたり文字の大きさがでかくなったりするんです…!!

普段よく小説を読みますが全部同じフォントで同じ大きさで印刷されている作品しか読んだことがなかったので、より物語に引きこまれて勢いで読み切れてしまいました。

また、この小説を読んで思い出した小説として、

空芯手帳

空芯手帳

八木 詠美

筑摩書房|定価 ¥726|208ページ

職場にキレて偽装妊娠。理不尽な雑用、セクハラ、「女」だから演じるろくでもない役回り――ままならない現実を破壊するのは、私だけの赤ちゃん?女だからという理由で延々と雑用をこなす人生に嫌気がさした柴田は、偽の妊婦を演じることで空虚な日々にささやかな変化を起こしてゆく。第36回太宰治賞受賞作。

八木さんの『空芯手帳』という小説があります。妊婦というところにスポットを当てている点では『グレタ・ニンプ』と同じですがこっちは偽装妊娠!こちらの作品もめちゃくちゃ面白いのでぜひ読んでみてください!!

私たちも紫坊主になりうる。

『グレタ・ニンプ』を読んでみて、小説だしフィクションだから清楚な奥さんが紫坊主になるという設定の面白さに笑いながら読み終わったけど、私たちも普段そんな風になってもおかしくないくらいのストレスや重圧を抱えているのでは…?と感じました。

現実世界でも妊娠することや不妊治療ということはあるわけで、それがわかりやすいカタチ(女の人が紫坊主になるなど)になってないだけで実際それくらいしんどいことってたくさんあるよなあと気づきました。

基本的に笑えるコメディ小説ですが読み終わった後に自分の中で考えたい部分が残るような作品になっていると思います。みなさんもぜひ読んでみてください!📚

るこ

Written by

るこ

文学とお笑いと労働。かんがえることを諦めたくない✌🏻

関連記事